2025年4月13日から開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」(テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン)にて、弊社の技術が公開されます。
iPS細胞由来心筋シート
動くメカニズム 〜細胞が奏でるハーモニー〜
私たちの心臓は、無数の心筋細胞がリズムよく一体となって動くことで、全身に血液を送り出しています。実は、心筋細胞は一つひとつが自発的に拍動する力を持っていますが、集まると、最も強い電気信号を出す細胞のリズムに合わせて、まるでオーケストラのように協調して動く性質があります。
この仕組みを体の外で再現したのが、「心筋細胞シート」です。私たちは、ヒトiPS細胞から作られた心筋細胞を用いてこのシートを作製し、それを心臓に移植することで、新しい血管をつくって傷ついた組織を修復することを通じて、心臓全体の働きを助ける新しい治療を目指しています。
さらに、このシートには、パラクライン効果や電気的融合の働きがあることが、基礎研究や動物実験で明らかになっています。
パラクライン効果:サイトカインなどの物質を分泌し、心臓の周囲にある血管を新しく作らせ、傷ついた組織の修復を助けます。
電気的融合:心臓の拍動に合わせて、移植された心筋細胞が一緒に収縮し、心臓の力を支えます。
治療方法 〜心臓をいたわる新しい選択肢〜
「心筋細胞シート」は、手術によって患者さんの心臓の表面にやさしく貼り付けるように移植されます。胸を少し開くだけの低侵襲な手術で、シートは自然に心臓に接着し、わずか10〜15分で固定されます。 移植から約6時間後には、患者さんの心臓の表面からシートの中に血管が伸びていきます。すると、今度はシート側からも治癒に役立つ物質が放出され、相互に助け合うかたちで心臓の回復が進みます。 この治療は、これまで、薬では限界があり、移植や人工心臓を待つしかなかった重症の心不全患者さんにとって、新たな選択肢となる可能性があります。 現在のところ、大きな副作用も確認されておらず、安全性にも配慮された治療として研究開発が進んでいます。
澤CTOがnews23に出演しインタビューを受けました。是非ご覧ください。⇒番組公式動画
iPS細胞由来心筋シートは、大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンにて公開。
ミニ心臓
ミニ心臓 〜未来の医療を“見る”かたちに〜
私たちは、再生医療の可能性を世界中の人々に届けるために、「ミニ心臓」を開発しました。これは、2025年の大阪・関西万博に向けた特別展示モデルとして制作したもので、最先端技術を“見て感じる”ことができる、体験型の展示です。
このミニ心臓は、直径約3センチの心臓の形をしたコラーゲン製の膜に、iPS細胞から作った心筋細胞を染み込ませて作られています(※多木化学株式会社との共同開発)。実際に拍動する様子をご覧いただくことで、細胞がどのように動き、心臓のような働きを再現するのかを直感的に理解していただけます。
この取り組みには、「未来は変えられる」というメッセージを子どもたちをはじめとした次世代に伝え、医療の未来を担う希望を育てたいという弊社CTO澤の思いが込められています。
日本発の再生医療技術を、世界の方々に広く知っていただける貴重な機会として、万博会場での展示を通じて、未来医療の一端をご紹介します。ぜひ、会場でご覧ください。
iPSミニ心臓は、大阪・関西万博 PASONA NATUREVERSE館にて公開。
Expo 2025 Osaka Kansai: Exploring future technologies shaping the sea, sky and land
Prime Minister’s Office of Japan YouTube Channel(首相官邸公式YouTubeチャンネル)